「インベーダーゲームVSパチンコフィーバー機」という歴史

パチンコ沈没―潰れる店生き残る店 大ピンチを大チャンスに変える本

パチンコ沈没―潰れる店生き残る店 大ピンチを大チャンスに変える本

戦後の正村竹一による「正村ゲージ」の探求、そして連発式パチンコ、それに対する当局の規制、救世主としての「チューリップ」、パチスロの誕生という東京オリンピックあたりまでの歴史。押井守の『立喰師列伝』ではないが、パチンコの歴史における情念に焦点をあてるのも面白い。ただし、本書は「表」の歴史であり、「裏」についてはほとんど触れられていない。
1979年の「インベーダーゲーム」がまさにその名の通り、パチンコ業界を侵略し、大打撃を与えたのだが、そこで起死回生の「フィーバー機」が誕生する。1980年のことだ。ぼくの誕生年と同じ。このフィーバー機が今のパチンコの原型になっていると言ってもいい。その誕生秘話も面白い。この業界の様々なエピソードは機会があったら触れようと思う。
著者はホール側の立場の人間だ。だから、みなし機、4号機が撤去されて低射幸性時代へ突入する(あるいは回帰する)今後の状況を真剣に考えている。これまでの業界の歴史をたどると瀕死のたびに起死回生があった。今後の状況は中小ホール、あるいは大ホールにあっても厳しいものだろうが、これまでのP業界の生命力はそんな危機を上回って来たのである。しかし、今回ばかりはどうだろう。遊技者にとっても辛い時代ではあるが、もしかするとホールという存在もかなり危ういかもしれない。

池田こずえのエステティシャン

  • 僕の妹 下着の甘い湿り(監督:荒木太郎、脚本:三上紗恵子、出演:美咲沙耶、里見瑤子、吉岡睦雄etc)
  • 美女濡れ酒場(監督/脚本:樫原辰郎、出演:若宮弥咲、山咲小春、間宮結etc)
  • 痴態エステ 舐めて交わる(監督:国沢実、脚本:間宮結、出演:さくら葵、池田こずえ、椿まや、松浦祐也etc)

新宿国際劇場にて。
狙いは分かるがあまりうまいとは言えず、ちょっともったいなかった『美女濡れ酒場』の後に上映されたのは『痴態エステ 舐めて交わる』。これが本命だったので、上映時間に合わせて入ったつもりが、ピンク映画ではめずらしくないことだがプログラムの順番が入り口に示されているものと違っていて、結局3本目に観るはめになった。
しかし、『痴態エステ』はなかなかの傑作である。国沢実はやっぱり信頼できる。ちょうど『美女濡れ酒場』にも出演していた女優間宮結によって書かれた脚本も良いのだろう。昔はいじめられっ子で、その時の体験はトラウマでもあり、自分に自信を持つためにエステティシャンとなった女(池田こずえ)が、そのいじめっ子だった女(椿まや)に、客でもあったけど親友になりつつあった女(さくら葵)の痴態写真を見せられた時、今まで我慢してずっと崩さなかった表情をゆがめながら叫び、椿まやにビンタ一発! サディスティックな性悪女を好演していた椿まやがそのビンタによって、彼女も強がっていた態度を一気に崩して泣きながらダメ男(松浦祐也)への愛を告白し、ダメ男はダメ男で二股がばれて女のひとりであったさくら葵にビンタされ、その場を飛び出して行ったさくら葵がひとり橋の上で寂しげに佇む後ろから声をかけたのは池田こずえの演じるエステティシャンだった。そして2人は結ばれる。愛のあるレズシーンと共に幕は閉じる。
やさしい光で包み込むような前向きな映画のスタイルは本当に素晴らしい。ピンク大賞では新人賞を受賞した池田こずえ。この映画でのエステティシャン役の揺れる心情を、その豊満な身体と共にしっかりフィルムに刻んでいる。彼女の名前をポスターに見たら、今後は必ずそのピンク映画を観るだろう。