イタリア映画祭

結局、行ったのはこの日だけだった。ゴールデンウィークのうち3分の2ぐらいはバイトに費やしてしまった。

  • カリオストロからの帰還(監督:ダニエーレ・チプリ&フランコ・マレスコ)
  • 向かいの窓(監督:フェルザン・オズペテク)

前者の面白さはほとんど分からなかった。下調べをしなかったぼくは、タイトルに匂いを感じて、『カリオストロからの帰還』のチケットのみ前売りで買っていたのだが、この劇中劇あるいはバックステージものコメディの単調さはどうしようもなくつまらなかった。もしかしたらイタリアの国民性みたいなものが反映しているある種の映画なのかもしれないが、わずかに2、3箇所笑いそうになったものの、楽しめる性質のものではなかった。
逆に、後者には圧倒された。魅力的な物語。そういえば昨年も同監督による『無邪気な妖精たち』に魅了されたのだった。こうして2作品見るといくつもの共通したモチーフがあることが分かるが、それよりも語り口や人物描写がとにかく巧みなのだ。冒頭のシーン、パン屋の工房でただならぬ顔をして佇む青年が映し出される辺りで、思わず物語にぐっと引き込まれていた。緊張感溢れる重い展開の端々で、本当に絶妙と思える間隔でユーモアが注がれるところなど素晴らしく、2本も観ればこの監督の映画の虜になることは疑いない。
他の作品も観たいと思ったのだが、結局この日以降は疲れと野暮用でイタリア映画を堪能することは叶わなかった。無念。