小森未来の転身

tido2004-05-10

永井豪原作の「まぼろしパンティ」と「へんちんポコイダー」が河崎実監督の手で実写化されたという記事が、少し前の週刊誌で取り上げられていた。今夜から、渋谷のアップリンク・ファクトリーでその上映*1があるというので、久しぶりに時間を持て余していたぼくは足を向けてみた。
初日ということで、小森未来ら出演者や監督の舞台挨拶があった。狭いアップリンクの会場にはマスコミがひしめき合っていて、客層も小森ファンと思われる独特な人たちと、河崎監督と親交のある業界風の人たちがそれぞれ集まっているように思われた。スーツ姿の人が多かったから、やはり小森未来はビジネスマンのファン層が多いのだろう。グラビアで登場する雑誌を考えればもっともだ。
70分少々の作品『まぼろしパンティVSへんちんポコイダー』は、今年公開されるはずの『キューティーハニー』や『デビルマン』の何百分の1ほどの予算だけあって、まあそんな感じのエロバカ映画だけど、気合が入っていて、出てくる女優たちもなかなかきれいだ。男優たちも、熱演のあご勇、中学生役を演じた竹内力に匹敵して小学生役を演じたなべやかん阿部寛を髣髴とさせる風紀委員役の濃い男優など、バカさ加減にリアリティをもたらす演技は見物である。
小森未来はというと、パンティを頭にかぶったモロ出しヒロイン役を持ち味を生かして熱演している。彼女が敵役にやられたりする場面もあるのだけど、そこは河崎監督の持ち味なのか、たびたび寸止め的な演出によって欲望が遮断される。そういう意味では、最後までエロさに暴走することなく、バカな水準で語ってのける。
舞台挨拶の時に言っていたが、小森未来は、この役の話が来た際にはとまどいながらもOKしたらしく、河崎実によると「他のグラビア女優に断られたから誰でも良かった…きみ、性格良すぎるよ。性格良すぎると売れないよ」と言えるような無自覚な人らしい。とすると、彼女の迷走ぶりはその性格の良さに起因するのだろうか。「まぼろしパンティ」の役は文字通り頭にパンティをかぶるキャラクターだし、普段の女子高生姿の時だって、おかしなカツラをかぶっているわけだから、グラビア女優としては何ら利点はないような仕事かもしれない。しかし、そんな役柄だって熱心にこなして、持ち味を出すには出しているのだからすごいことなのかもしれない。
実はこの映画には、原作者=永井豪が本人として出演している!『キューティーハニー』でも『デビルマン』でもなされることのない偉業を為した、この『まぼろしパンティVSへんちんポコイダー』は、ある意味永井豪ワールドのひとつとしてささやかに受け止められるぐらいには値するだろう。

*1:ビデオ&DVD発売日は7月22日らしい。