芝居に行く

この一年近く大学関係の芝居の手伝いで撮影をやっている。写真とビデオである。おかげで、いつもただで観劇できるという恩恵にあずかっている。今日はビデオ撮影で『青春オーケストラ!病気!』という芝居を観た。ぼくの知人の女の子が出演していることもあって楽しく観させてもらった。90分過ぎると小劇場の芝居は長く感じてしまうものだが、この芝居はその点まったくストレスを感じさせなかった。語り口やBGMによってテンポの快活さに配慮されていた。ただし、お話に興味が持てず、芝居の形式的な部分しか楽しめなかったのも事実である。物語に起伏をもたらせる装置として、安易にトラウマ的な要素を持ち込むのは、『心理学化する社会』で斉藤環氏が分析していたように、よく考えてからやるべきだ。まったくそぐわない文脈に、殺人やカニバリズムや人体破壊を導入するのはどうも…ああいった装置は芝居でやるとまさに芝居じみていて、観ていると熱が冷めてしまう。