ひきこもり

はてなダイアリーでもおなじみの上山和樹さん(id:ueyamakzk)の『「ひきこもり」だった僕から』を読了。とても真摯で心打たれる内容である。
前半の過去パートにはひどく感情を揺さぶられた。ぼくは上山さんほどの体験をしていないけれど、ある程度共通する感情を抱いた時期があった。だいたい高校生から大学の一年目ぐらいまでだったが、その時期は友達に調子を合わせるのもつらく、家に帰ると誰とも会いたくなかったし、人からきた電話はできる限り居留守を使って回避していた。性的な抑圧も強く受けていて、少ない女性体験を経てもそれは変わらなかった。周囲の人間はなぜうまくやっていけるんだろう…と鬱屈した感情を持ち、すべての怒りを自分や親に向けていた。それでもオタク志向のあったぼくは、自分の部屋に籠もるとオタクモード全開でギャルゲー、アニラジ、OVAなどに耽溺して当時をやり過ごしていた。
後半の現在パートは、どのようにひきこもりやそれをめぐる問題にかかわっていくかという問いが、上山さんの実存に引きつけられながら真摯に語られている。とても具体的であり、実践という視点を考慮している内容は、腐りかけている世の中に対して希望をもつようにしようと思わせてくれるものだった。これからも上山さんの活動を応援したいし、はてなダイアリーも楽しみに読ませてもらおう。