お兄ちゃん

ビデオで借りていた藤田敏八監督、秋吉久美子主演『妹』を見た。近親相姦を直接描くといったふうではなく、もっと微妙な心の揺れをユーモアと哀切が混じった語り口で綴った映画である。
この映画では妹たる秋吉久美子の魅力が全開で、ぽつりと落ちる一滴の涙、兄を演じる林隆三のそばで風呂上がりの全裸のまま坐る時の背中、万引きした品をしぶしぶ出すときの仕草など萌えること間違いなしだ。
物語には、兄妹の死んだ両親の店を地上げ屋が取立に来るエピソードや妹が嫁いだ相手の家族が殺さる(自殺する?)エピソードがあったりするのだが、これは軽快なテンポでコミカルに描かれ、決して前景化されない。兄妹、特に妹の捉えがたい言動こそが前景化され、暖かく愛らしく描写されているのだ。
「妹」はいついかなる時も永遠なのだった。
それはそれとして、同時代の桃井かおり伊佐山ひろ子と括られがちな秋吉久美子だけど、それはちょっと見直さなければいけないのかもしれないなと少し考えさせられた。秋吉久美子といえば、先日も某週刊誌でヌードを披露していたし、まだまだ過去にするにはもったいない女優なのだ。