座頭市の灯は消さねぇよ。

狙いをつけていた平岡正明の『座頭市 勝新太郎全体論』もとうとう手に入れたのだった。重厚なモノクロ背表紙のフェティッシュ感。移り気の激しいぼくにしては快挙なまでの継続である。
平岡正明がぼく学科専修の先輩にあたるとは今まで知らなかった。これからは恐るべき高橋洋や不意打ちの後藤明生*1と共に奉らねばなるまい。とりあえず、平岡正明は釈迦である、などと平岡風に遠投*2してみよう。

*1:思い出して追加。ゴーゴリの『外套』にとりつかれた小説『挟み撃ち』の偉大な才能を忘れるわけにはいかない。都市の巡礼の旅というモチーフは幽霊のようにどの時代にも投射されるべきものとなる。

*2:誰ぞやが、平岡正明の文章を評して、論理で緻密に編み上げていくタイプではなく、まず自分の感覚をたよりに遠投し、そこに向かって積み上げていくタイプだと言っていた。