コミック映画百花繚乱

へとへとに疲れてしまったが、帰り際、池袋シネマサンシャインで『ゼブラーマン』を観る。いや…面白いのだけど言葉に詰まる。前半の雑多な感じは、銀残しの荒れた映像の非現実感と相俟って楽しめた…が、後半はどうも散漫な印象がマイナスに感じられた。油断すれば、ある種の「熱さ」に持って行かれそうになるのだが、よくよく観ればアクションも大したことないし、クライマックスには加速感もない。
『マーズ・アタック!』の敵よりもさらに抽象化したような緑スライムが、『ゴースト・バスターズ』のマシュマロマンのように巨大化して、『マトリックス・リローデッド』以降のネオのように…となって『アンブレイカブル』の父親と子供の秘密関係に『アルプスの少女ハイジ』をブレンドし…などと考えてもしかたないけど、どうにも物語に対して工夫を放棄していやしないだろうか。三池崇史ならば、もっとやってくれると思ったのだが…。『着信アリ』にも言えることだが、映画の後半部分に「だるさ」を感じてしまう。
例えば、作品内作品として『機動戦艦ナデシコ』や『ギャラクシー・クエスト』みたいな展開はありえなかったのだろうか?あれでは、大杉蓮が犬死みたいだ。もっと謎めいた謎を残して去って、もうひとひねりふたひねりあって然るべきだと思う。『血を吸う宇宙』で中村愛美が図書館で本をめくっていたら「あなたは選ばれた」という文字を引き当てた時ほどの衝(笑)撃が、大杉蓮の死に託されてもよかったんではないか?
哀川翔の100本記念を讃えて全肯定したいところだが、ぼくにとっては、期待していただけに不満足な出来だった。
それとは別に気になったのは、『ゼブラーマン』上映の前の予告編がほとんどコミック*1をベースとした映画ばかりで(『キューティ・ハニー』『スパイダーマン2』『デビルマン』など)、しかも面白そうな感じでどうもこの傾向は加速していきそうだと改めて思わされた。特に『スパイダーマン2』の予告編はかなり良かった。

*1:さっきは「アニメ」としていたけど、不適切だった。「コミック」ならば、件の予告編はほとんど当てはまりそうだった。