『二つの塔』がない!!

夜勤が明けて歯医者に行ってさあようやく『ロード・オブ・ザ・リング 二つの塔』だ!そう思ってビデオを借りに行ったがない。2つ目のレンタルビデオ屋に行ってもない。3つ目も…ない。4つ目にTUTAYAに行くと…やっぱりない。誤算だった。いくらなんでも1本ぐらいあるに違いないという「なんとなく」が災いしてしまった。現在読書中の大塚英志サブカルチャー文学論』でも、江藤淳が批評性の欠如した「なんとなく」を批判したという部分を昨夜読んだばかりなのに…一眠りしてから夕方頃また巡回しよう。
それにしても『サブカルチャー文学論』は面白い。異常な分厚さも気にならず、昨夜は3分の1ほど一気に読めた。特に中上健次の唯一の劇画『南回帰船』を、戦後まんが史との絡みで多面的に考察する章は圧倒的だった。手塚治虫の「まんが記号論」や石森章太郎の24年組少女まんがを用意した「重層的な語り」などを援用しながら分析するという手口はいつもの大塚英志なのだが、それを中上健次に対しても用いて、なおかつ的を射ているように思えるのだからすごい。村上春樹の章を読んでいても分かるけど、大塚英志は語り口=ストーリーテリングにとてつもなく敏感である。さすがに漫画原作者だけある。
ロード・オブ・ザ・リング』ではないが、600ページを凌駕する『サブカルチャー文学論』の長さはぼくにとって魅惑的な長さであり、長さ自体がまったく苦にならない一方で、いつまでもその中にとどまりたいという気分にさせる。大塚英志の語り口も「無形技術」が通底しているのだ。そう言ってしまうと「無形技術」という言葉が何にでも適用できる節操のない言葉に思えてくるが、元から、ある世界観なり対象なりに没入させる技術のことを総称して「無形技術」と呼ぶと思われるので問題ない。
昨日の話に付け加えて、「無形技術」の優れた映画を挙げていろいろ考えてみようと思っていたのに忘れていた。気が向いたら書いてみよう。ひとりぼくが優れていると思う映画作家を挙げるとラッセ・ハルストレムである。詳細は後ほど…(いつになるやら…)