長いお別れ…だったような気がする
ずいぶんはてなから遠ざかってしまって、今日このページに来ることにさえ緊張してしまったほどだが、(最後の)夏休みに入って落ち着いてきたことだし、そろそろ以前のように、あるいは以前とは違った趣向で何かやろうと思った。手始めとしてこの日記は再開しよう。他にもやっていきたいことはいろいろとあるけど、結局バイトや大学関係の雑用に追われてしまって、疲れた果てた挙句に軽く酒を飲み眠りに落ちる(クーラーの効きが悪いので普通に寝ようと思っても寝苦しいのだ)という日々を送ってしまいそうなので、とりあえずこの日記だけでも再開して何かをやった気になっておきたいというのが本音。最近はメールチェック以外ほとんど何もやっていなかったので相当のリハビリが必要かもしれない。
手帳のメモを見ると、この2週間はろくに映画を観ていない!ここ3日は継続して映画館に通ったのでしだいに生活のリズムに映画が組み込まれつつはあるが、映画から遠ざかってしまった理由には、ちょっと前に出版された藤木TDC著『アダルトメディア・ランダムノート』に触発されてAVを観たり、なぜか『北斗の拳』をDVDで最初から見なおしていたりしたせいもあった。
今日は李相日監督、宮藤官九郎脚本の『69』を観た。村上龍の原作は高校生の頃に読んでいたけど、この映画化はどうだろうか?『昭和歌謡大全集』と共に娯楽作品として広い層を確保するという狙いにおいては、キャスティングを見ても分かるとおり成功しているに違いないのだが、個人的にはまったく楽しめなかった。レディースデーの水曜日に池袋のシネマサンシャインで観たのが失敗かもしれないが、ぼく以外の観客のおよそ9割を10代の女性が占める中、さらに腹立たしいことに、スクリーン上に一匹の虫が終始まとわりついていて、それにいちいち反応する一部の観客のざわつきに集中力を殺がれてしまった。ただでさえ弛緩したこの映画を観続けるために集中しようとしている善意を、虫と一体となった観客が邪魔しようとするのだ。
李相日監督の前作『BORDERLINE』も面白いと思えなかったし、宮藤官九郎の脚本もどちらかといえば楽しめない身としては、どうせ『69』が映画化されるのなら別の方向を期待していたのだが…
何が退屈だったのか考えてみると、何度も繰り返される同じ軌跡を描くパンニングや軽薄な風土描写などであり、画面に緊張感が張り詰める場面がほとんど見られないことだった。村上龍の原作のエッセンスも生かされていないんじゃないかと思った…とはいえ、すでに原作の細部は覚えてない。それでも話のおおよそはしっかり覚えていたので、知っているがゆえに逆に話の流れが退屈だったというのもある。物語を知っていても面白いものはあるのに、この映画が退屈なのはもちろん見せ方の問題に違いない。まあ、面白くもない映画についてあれこれ考えるのはこれぐらいにしておこう。
それにしても『スパイダーマン2』は傑作だった。冒頭から結末まで衰えないあの緊迫感。昨日は池袋シネマ・ロサで遊園地再生事業団による『be found dead』というオムニバス映画を観たが、その中の一篇に富永昌敬があって、これも素晴らしく良かった。…そのことについて書き始めると長くなりそうなので今日はこれぐらいにしておこうと思う。