ジャンルとしての「イーストウッド映画」

「Invitation」6月号。黒沢清が語る『ミリオンダラー・ベイビー』では「殴らないイーストウッドがそこにいた。」と題されたインタビューで、黒沢清イーストウッドが最後のほうで誰かを殴るんじゃないかと予期して、殴られてしかるべき存在も登場するが、モーガン・フリーマンが別の人間を殴って、結局イーストウッド自身は殴らなかったということに小気味のよい驚きを感じたとい述べている。そういえば、ぼくも書き忘れていたが、原作では動けなくなったマギーを彼女のどうしようもない家族が見舞いに来て、一連のひどい仕打ちをやってのけた後、病院の外でつっかかってくる弟をフランキーが殴るという場面があり、これはイーストウッドらしいなぁ……と思っていたのに映画ではスッポリ抜けていて、その代わりにモーガン・フリーマンの殴打シーンが加えられている。「傷」のことも併せて、それらをイーストウッドのある種の変化と捉えることはできるだろう。何にせよすでにみんな次回の「イーストウッド映画」が待ち遠しいのである。
そういえばすっかり忘れていたけど早稲田松竹ではイーストウッドの2本立てをやっている。『ミスティック・リバー』と『ブラッド・ワーク』だからたいていの人は見逃してないと思うが、格安で2本立てが見られる最終回はお得。でも、あと2日しかない。
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