林由美香追悼上映@上野日本名画劇場

プログラムが替わったのでさっそく。ぼくもエキストラで出演し、林由美香の遺作となってしまった『ミス・ピーチ』と同じく監督は吉行由実。『新妻不倫 背中で感じる指先』は女性監督っぽさが画面の色調にも滲み出ている映画である。結婚についての扱い方、セックスよりも感情を中心にした物語展開も然り。密室劇っぽさがつきまとう本作の静けさ、台詞回しはなかなか良かった。淡くも豊かな画面の色調と陰鬱な表情の女優のコントラストが独特の感触をつくり出している。そして林由美香。コミカルに芝居する林由美香も良かったが、本作のように静かな佇まいも美しくて良い。他の女優の吉行作品よりも輝いていたのではないか。
さて、映画館は今日も危険地帯だった。しかし、映画を観ていると突然女っぽい喘ぎ声が聞こえてきて、女装子でもいるのかなと思ったら、どうやら30歳ぐらいのカップルのようだった。オッサンたちに囲まれて可愛がられたのだろう。途中、ライターの火を灯して陰部をじっくり眺めているオッサンもいたようで、まるで寺山修司の16mm実験映画を観るような気分で、スクリーンとその前で繰り広げられるものを眺めていたのだった。遊人の漫画にエッチな「マッチ売りの少女」の話*1があったのを思い出した。
参考→http://www.tanteifile.com/diary/2004/07/11_01/(歌舞伎町のマッチ売り少女)

*1:法外な値段のマッチを買うと、そのマッチの火の明かりで少女の陰部を眺めることができるという話。給料をすべて使い果たした男は、最後に自分の服を燃やしてまで明かりを維持しようとする。深い話だ。