セーラー服のバスジャック

映画の大半がバスの中を舞台とするまるで『スピード』のような異色作である。しかも女教師と女子高生のみである。タイトルバックで合唱する女たちであるが、冒頭からこの場面までの描写はかなり風変わりだった。小原宏裕の映画だということが考慮にあったから『桃尻娘』の感じを予期させたということもある。確かに歯切れの良い軽快なテンポは共通するのだが、どこか物々しさも感じられるというのが違和感だった。バスジャックされてからはまるで『ダーティハリー』のバスジャックのシーンと重なるかのような感じも受けたし、ロマンポルノとしてはめずらしいロケ(が多い)作品のせいか、必要以上にシリアスなのである。それは物語が終わりに近づくに連れて増幅される。近親相姦的なテーマと女教師の主体性が交差する妙なシーンがあったりするのも、シリアスさを加速させる方に寄与している。
ロマンポルノといえば密室性が中心的に描かれることが多いから違和感を感じただけかもしれない。ロマンポルノの中でも年代を経ていくにつれて描写は過激になったり、女優の質が落ちたり……という問題はあるし、テーマや演出の比重にも変化はあるだろう。それぞれの監督やスタッフや出演者たちがどのように変化していったのか、詳しくたどっていく必要があるだろう。