性的妖精

  • ククーシュカ ラップランドの妖精(監督:アレクサンドル・ロゴシュキン、出演:アンニ=クリスティーナ・ユーソ、ヴィル・ハーパサロ、ヴィクトル・ブィチコフetc)

驚いたことにまだ上映が続いていた。井筒の「こちトラ」がオンエアされたのはけっこう前だったように思う。上映は今週いっぱいまで。渋谷シネアミューズ
19時15分の回に行ったが、通路に椅子を出すほどの盛況ぶり。観たいと思いつつ、すっかり観るのを忘れていた。知人に誘われてまだ上映が続いていたのだと気づき、仕事帰りに行ってきた。期待通り面白い。舞台となるラップランドの空間、アンニの家の空間、言葉が通じない3者の間に生じる空間、ネタばれになってしまうが「黄泉」の空間。これらの空間が他の映画ではあまり目にできないだけに新鮮で心地良かった。自家製サウナの中で汗を流すと思いきや、男に飢えたアンニ(のちに、アンニという名前の由来を語るところがまた素晴らしいのだ)がフィンランドの若き兵士ヴィエッコを家に連れ込み、猛々しい喘ぎ声をあげる一方で、ロシアの中年大尉イヴァンはサウナから出て家に入ろうとするがその喘ぎ声の前に引き下がり、寒さを藁の中で凌ぐ。この温度差がしっかりと表情や身体に刻まれている。仕事着に厚く身を包んだアンニがシャツ一枚になると色っぽい。イヴァンではないが惚れてしまう。