アンチ失楽園

• セミドキュメント　暴行魔汚す（監督：釜田千秋、出演：小川亜佐美、水月円etc）
• 先生の奥さん　したがり未亡人（監督：羽生研司、脚本：吉野洋、出演：山本瞳子、瀬戸恵子、日高ゆりあetc）
• 熟妻交尾　下心のある老人（監督：新田栄、脚本：岡輝男、出演：加山なつこ、小林達雄、華沢レモン、山口玲子etc）

シネロマン池袋にて。
『セミドキュメント　暴行魔汚す』をのぞけば、ピンクの客層に向けた典型的封切り作品２作なわけだが、そういうものの中でもこの２作は出来が良い方だった。『熟妻交尾　下心のある老人』の方は心温まるストーリーに仕上げられていて、なかなか好感が持てた。「アンチ失楽園」としてのドラマがそれなりに説得力を持つのも、奇をてらわない堅実な演出のなせるわざだろう。
ポレポレ東中野の現代ピンク映画傑作特集を観た後だとさすがにもの足りない感じはあるけど、後者２作は山本瞳子や華沢レモンを見ているだけでもけっこう楽しめる。どちらもほとんど室内でセックス中心に撮影されていて、低予算のピンク映画ならではの巧みなまとめ方がさすがである。限定された条件の中での小さな工夫を発見するのも面白いだろう。さすがに新鮮な驚きはないとはいえ、土曜の深夜、持て余した時間を消化するにはちょうど良い映画だった。