美しきどうぶつ

ポレポレ東中野のピンク傑作選。プログラムC最終日。残るは金曜日までのプログラムDのみとなった。
最初に断っておくと、↑のイメージは今回の映画どちらとも関係ない他のピンク映画で、林由美香と華沢レモンの共演ということで使わせてもらった。『たまもの』は華沢レモンのピンクデビュー作でもある。『PG』99号の表紙は華沢レモン、100号が林由美香という符合もある。しかし、今回の上映特集を観ていてもピンクの役者の存在の大きさに気づかされる。佐々木ユメカにしろ、平沢里菜子にしろ、藍山みなみにしろ、華沢レモンにしろ、吉岡睦雄にしろ、川瀬陽太にしろ、佐野和宏にしろ、伊藤猛にしろ、主役・脇役とフル稼働である。3本立てのピンク映画を観に行ったらそんな常連組の誰かが必ず登場する。だから、他の映画ではどんな役をやっているのかとか、そういった楽しみ方が有効である。昔のプログラムピクチャーを観ていた人たちの多くはそんな映画の楽しみ方をやっていたのではないだろうか。
『ふ・た・ま・た』は良い映画だった。昨年ピンク大賞4位『欲情ヒッチハイク 求めた人妻』などで新人女優賞を獲得した夏目今日子。冒頭の眠気に身を任せた絡みのシーンなど、『欲情ヒッチハイク』の前半部分の感じと同じく、何とも気持ち良さそうである。反面、激情に駆られ激しいセックスをする場面もある。アフレコとは思えない息づかいや生々しい台詞。長回しと短いカットのバランスが物語や人物の関係性とうまくかみ合っていてぐいぐい引き込まれる映画に仕上がっていた。素晴らしい。
『たまもの』は言うまでもない。何度観ても傑作であり、ひとつひとつの場面、芝居に見入ってしまう。林由美香は本当にすごい女優である。しかし、新人の華沢レモンもこうしてじっくり見るとなかなか良いと思う。ピンク映画館に行くたびに華沢レモンがどこかに登場してきてスクリーンを彩ってくれる。それはピンク映画に行く楽しみの大部分を占めている。
こちらの映画は同録である。両作ともに音声、特に声や息づかいの印象が強く残る映画だった。充実のプログラム。