燃えた小学校、儚い時空

6月9日の日記(http://d.hatena.ne.jp/tido/20060609#p3)で触れたSMレズショーの記憶が薄れゆく中、そのショーとなんとなく似ている印象を受けていた井口昇の『ロリータ監禁レズ』を観直そうと思い立った。
数年前のあやふやな記憶を頼りに、いつも利用しているレンタルビデオ屋のアダルトコーナーを探してみたけど、どうやらなくなっているようだった。やはり次々と新作が登場し続けるAVにおいては、たとえ名作であっても保存し続けるわけにはいかないらしい。日を改めて池袋のTUTAYAに行ったら、『ロリータ監禁レズ』がちゃんとDVDで入荷されてあった。
印象からするとやはり間違っていなかった。京&ゆのによるSMレズショー(「ロリータ萌えレズ」と勝手に名付けた)と『ロリータ監禁レズ』には根底で通じるものがある。これを観ながら、また改めてショーの記憶が蘇って感動してしまった。
井口昇の場合、さらにノスタルジーが付与されている。他の作品でもそうだけど、日本家屋が舞台となるということがあるし、『ロリータ監禁レズ』においては「燃えた小学校」という設定が何より効果的に用いられている。これによって空想的で儚い時空が召還されるのだ。これは八的暁のロリコンエロマンガなどの感触と似ている。また、これも井口昇的だが、愛憎入り交じった三角関係が、儚い時空をあたかも永遠であるかのように引き延ばすのである。クライマックスの廃校3Pレズシーンで結ばれる3人を暖かく包み込む西日。車椅子。体育のマット。純白の下着。完璧だ。
「愛ちゃん、だーいすき。さやちゃんもだーいすきだよ」
「あたしも愛ちゃんと若菜ちゃんだーいすき」
「わたしも若菜ちゃんとさやちゃんだいすき」
抱き合ってキスし続ける3人。この後に、再び燃える小学校の中で、失われた空想的な時間が流れ始める。小学生の服装に戻った3人は炎の中で仲良く縄跳びをやっている。(小学校が最初に燃える前の三角関係は互いのすれ違い、誤解などによって破綻していた。)素晴らしいのは、長瀬愛堤さやか、樹若菜の3人は(空想的な)小学生になり切ってしまえるところだろう。いつまでも続くはずはないのに、永遠に続きそうに思える、あるいはそう願いたくなってしまう美しい光景のまま幕は閉じる。ちゃんと観直して良かった。薄れつつあったモチベーションが回復した。
DVDの特典映像を観てさらに感動。これは「ロリータ萌えレズ」の「ご開帳タイム」に対応する。連日の徹夜の極限状態での3Pレズ。同じ事務所で仲の良い3人。長瀬愛堤さやか、樹若菜。一緒に絡むのは初めて。これに井口昇も加わり、儚いはずの時空の方が楽しげに広がってゆくのだった。