2003-12-01から1ヶ月間の記事一覧

行ったり来たり

外宇宙としての『ガンダム』に対して、内宇宙といえばやはりJ.G.バラードかなと思うけれど、現在は大学関連でベケット漬けの日々を送らねばならないので、仮にもベケットの意識探求を内宇宙として見立ててみた。そうやって置き換えてみるとSFの内宇宙の探求…

『モロイ』について

ベケット42歳の時に完成したと言われるこの『モロイ』だが、40代のベケットは円熟を迎えたようでもっとも濃厚な仕事を行っている。『マーフィ』の完成からおよそ10数年経っているわけである。初めからフランス語で書かれているということを考慮しても…

夜討ち朝駆け

「ファースト・ガンダム・コンプリート」から帰ってきて、さて一体どういうものを観たのだろうかと漠然と考えてみた。そうすると第15話〜第29話までの16mmフィルムにこれほど「女」が映っていることにちょっと驚いた。 ちょうどランバ・ラルの挿話辺り…

そして『フォーン・ブース』へ

およそ80分という短い尺は、最近のハリウッド映画の長尺化の流れにおいては珍しい。予告編を観て何となく敬遠していたけれど、なかなか評判が良かった『フォーン・ブース』はジョエル・シューマカー監督による。 導入と帰結のあり方から語り口の一貫性が守…

今宵も戦場へ

先週に引き続き「ファースト・ガンダム・コンプリート」第二夜に行くことを決めてしまった。件の「Invitation」最新号の宮台×宮崎対談で指摘されている通り、過去の熱きカルチャーへの直接的な反復は避けねばならないと耳の痛い思いもしたので、今宵はあえて…

web散策

遅めの起床の後、ざっと馴染みのサイトを巡回した。 id:Hoshinoさんがエリセの『マルメロの陽光』を恵比寿ガーデンシネマで観ていて、ビデオで、しかも授業かなんかで端折ってしか観たことしかないものだから、とてつもない後悔におそわれてしまった。確かに…

はてな界隈

「Invitation」の2004年1月号をざっと読んだ。宮台真司×宮崎哲弥のサブカル談義、映画では中原昌也のラス・メイヤー新作への賛辞や蓮實重彦の『ラストサムライ』評、書籍では高橋源一郎や仲俣暁生や中条昌平がこぞって舞城作品を押していて、保坂和志と…

ここ2、3日の映画事情*1

しまった、と思った時にはもう遅い。昨日、今日と有楽町で「小津シンポジウム」が開かれていたのだ。コーディネーターを蓮實重彦がやっていることもあって、顔ぶれはヴェンダースやジャームッシュ、エリセ、ペドロ・コスタ*1、吉田喜重、青山真治、黒沢清な…

フロム・ダスク・ティル・ヌーン

昨日の夕暮れから今日の昼までみっちり働いた。郊外のビジネスホテルとはいえ、周囲にビジネスホテルやラブホテルがないせいでけっこう客が多い。バブル期の借金まみれでろくなバイト料も払わないくせに、やらせることは何から何までなのだ。本当に身体がも…

『座頭市と用心棒』

監督は岡本喜八。パドックを見るだけでぞくぞくとしてしまう。勝新太郎と三船敏郎。やはりどちらも引けをとらない大役者だった。新文芸座の意向なのか、勝新太郎映画祭の最終日をこうも暗い映画2つで締めくくったのはなぜだろうか?『座頭市と用心棒』の舞…

『浪人街』

監督は黒木和雄。脚本は笠原和夫。そして総監修はマキノ雅弘。原田芳雄、勝新太郎、石橋蓮司、田中邦衛などの浪人が江戸末期を舞台に散る姿を描いている。とにかく暗い。色調の暗さだけでなく、侍という存在が行きにくい時世で酒浸りになるという物語の暗さ…

勝新太郎映画祭(最終日)

とうとう終わってしまった。無事46本を完走。

倹約と浪費

考えてみるともともとぼくはシネフィルというよりもビデフィル*1気質なのに、数々の映画祭が催された先月以降は映画館通いが過剰になっている。それはそれで好ましいことだ。もともとビデフィルだったのも条件面で制約があったからなのだし、今の状況はむし…

爆死メモ

これといって意味はないけれど、昨日の日記を書いた後で思い出した爆死をメモしておこう。トッド・ソロンズ監督による『ストーリーテリング』。最後はこれまた『マリア・ブラウンの結婚』と同じくガス爆発。

『ドドンパ酔虎伝』

監督は田中徳三。冒頭から鳴り響く心地よい音楽。リズムの躍動感。大江戸ミュージカル調に歌と踊りが繰り返される。なんて楽しい映画なのだろう。『まらそん侍』に似た快活さだが、それを大きく凌駕する喧噪が『ドドンパ酔虎伝』にはある。物語の上でも演出…

『酔いどれ博士』

監督は三隅研次。脚本は新藤兼人。時代設定や猥雑な舞台ということで『とむらい師たち』と似たテイストにある本作は、十分に三隅演出が発揮されている。ドヤ街にやってきた勝新演じる偽医者と彼を慕って活気づく人々の人情活劇とでも言うのがぴったりだろう…

勝新太郎映画祭

今日は楽しかった。残すところ明日のみ!

どうしようかな…

大学が休みの本日、さて何か映画を観ようかと『ぴあ』の「オフシアタースケジュール」をめくっていたらこれを見つけてしまった。 <恐怖!悪魔の見せ物映画たち> 悪魔の植物人間 悪魔の調教師 悪魔の狂暴パニック ※上映後、中原昌也×高橋洋のトーク有。 @…

ディズニーランドからネバーランドへ

「SPA!」の坪内祐三&福田和也「これでいいのだ」がマイケル・ジャクソンの事件に触れていた。その中でぼくが気になったのは、坪内祐三の指摘による部分で、新大陸につくられたアメリカの人工的非リアリティの中にマイケル邸につくられた「ネバーランド」の…

爆死は滑稽か?

http://dailynews.yahoo.co.jp/fc/world/russia/ ロシアの列車爆発テロの真相も次第に明らかになってきた。女性犯もいたとか。そんなこととはほとんど関係なしに、ぼくは爆死というものの印象について考えてみた。たまたまベケットの『マーフィ』でも主人公…

『やくざ坊主』

監督は安田公義。「座頭市シリーズ」では穿ったカット割りなどをしているぐらいで特に見るべきところがなかった安田監督だったが、この『やくざ坊主』の演出はなかなか面白い。痛快な笑いを駆り立てる小気味の良い演出である。 もちろん、たがのはずれたよう…

『座頭市 喧嘩太鼓』

監督が三隅研次というだけで期待しながら上映を楽しみに待った。蓋を開けてみるとしかし、これまでの三隅演出と比べて精彩を欠く内容だった。問題は脚本なのか?ネタ詰まりゆえなのか、それとも実験ゆえの失敗なのか分からないが、まず人物の関係性のドラマ…

勝新太郎映画祭

残すところは明日と明後日のみ。

資料として

楽天市場で落札していた平岡正明著『海を見ていた座頭市』が届く。少しずつ資料が揃ってきたな。

新作を控えて

http://cnn.co.jp/showbiz/CNN200312090019.html ソフィア・コッポラとスパイク・ジョーンズが離婚だとか。「意見の不一致」らしいが、実際のところ「作風の不一致」から生じたのではないかと邪推してしまう。

出かける

大学は休講。卒論の仮指導があるだとか…とりあえず午前中はバイトへ。

聴き惚れる

毎週のように在宅バイトの山に苦しめられるこの時間、昨日買ったグレイプバイン「イデアの水槽」に聴き惚れている。この世界から突き抜けていくような感覚に陶酔感を覚えて、まったく他のことへのやる気がなくなってしまうのは困りものだが… 最近CDを買うこ…

ヴィム・ヴェンダース『東京画』

BS2の小津特集の一環としてやっている。2年ぶりぐらいに見た。「パチンコ店は終戦後に誕生した。日本人が傷を忘れたかった時だ」という台詞が印象に残る。パチンコ店の監視カメラや車上のカメラやカメラを持つ人…様々な映像の媒介。『シンセミア』と重なる…

『不知火検校』

監督は森一生。不知火検校のキャラクターは座頭市のキャラクターの原型である。しかしこちらは救いようのない極悪人。彼自身が言うように「按摩にしておくにはもったいない」ほど、悪知恵に関しては他を圧倒している。後の座頭市で演じられる言動・動作の大…

『釈迦』

監督は三隅研次。超大作。違和感は拭えないが『秦・始皇帝』よりはかなり楽しめる。瞑想するシッダ太子を誘惑する欲望と悪夢の饗宴は手作りの豪華さを最大限に発揮していて、例えば『リトル・ブッダ』で描かれたような美しい映像とはまったく違った魅力を放…