郵便配達

さっき届く。ヤフオクで落札した団鬼六特集の「文藝別冊」。
ぼくが団鬼六に興味をもったのは、大杉蓮主演の映画『不貞の季節』を観てからだった。確かテアトル新宿だったかな。SMに関しては、何となく縁遠い世界かなと思っていた。しかし、この映画はほんとうに面白かった。
その後、ロマンポルノやピンク映画にはまっていくうちに、団鬼六原作の多さに驚くのである。中でも谷ナオミ主演のSMモノにはまってしまった。『花と蛇』は近々リメイクされるらしいが(杉本彩主演だったかな…?)、小沼勝版のものを最初に見たとき、谷ナオミの佇まいに魅了されてしまった。ぼくはその次の作品にあたる『生贄夫人』が好きだが、どの作品を見ても谷ナオミのプロ根性みたいなものがひしひしと伝わってくる。
そして谷ナオミといえば団鬼六なのである。新潮文庫で『美少年』という団鬼六の短編集が出ている。その中に「妖花−あるポルノ女優伝」というのがある。そのポルノ女優は谷ナオミである。
ともかく、団鬼六の小説は私小説としてよくできていて面白い。俗っぽい雰囲気をもつ作品から悲哀の籠もった人情モノまで、その才能を発揮しているし、時々サドやマゾッホの言葉を引用するのにも、観念的に閉じることのないセンスを感じさせる。
それにしてもロマンポルノをもっと上映して欲しい。新橋ロマンや池袋シネロマンでさえ、つまらないピンク映画を上映することが多いし、この夏実家のある岡山に帰省したとき、日活の直営映画館(確か全国に十数館しかなかったはず)に行ってみたが、やはり最近のピンク映画を上映していた。ピンク映画館に行くとやたらと男同士の情交に出くわすし、ロマンポルノの名作を上映すれば今でもたくさんのファンが駆けつけるはずなのに、何か上映できない問題でもあるのだろうか。神代辰巳田中登の傑作をスクリーンで観たいと切に願う。もう20年早く生まれていればなぁ…