宇宙人=外人

映画芸術』で「寺島しのぶインタビュー」を読んで良い女優だなと確信を深めつつ「日本映画星取」をざっと読み流す。小中千昭が構成・脚本ということでぼくもビデオを借りて見た『パラサイトドールズ』は、大口和久によると過去の様々な先達の達成をどれも中途半端にしかやっていなくて星2つ★★という評価に納得。ぼくもあまり楽しめず結局ビデオ第1巻だけ見てほったらかしのままだ。『東京ゴッドファーザーズ』はだいたいぼくも阿部嘉昭と同じような感想を抱いたし、小林善美の「これ実写の企画じゃん!」というのはもっともなことだと思った。阿部嘉昭は星5つ★★★★★で、小林善美は星3つ★★★だった。『カタルシス』と『花』を早く観たいと思った。
編集後記で荒井晴彦北野武座頭市』に一言書いていて、勝新座頭市の工夫と比べて北野版の退屈さを「外人」向けと斬っている。蓮實重彦北野武座頭市を「宇宙人」と評して肯定的に語ったのに対して、荒井晴彦は「外人」と評して否定的に語っているというわけだ。ぼくは、現役の脚本家荒井晴彦としてのその感性こそ尊敬に値すると思う。「でも俺には『外人』向けの映画は作れない」と綴る荒井晴彦の近作は、『KT』にしろ『ヴァイブレータ』にしろ「日本人」としてのぼくの心を十分に撃つものだった。