『兵隊やくざ 脱獄』

監督は森一生。このシリーズに関してはあまり語るところがない。というのも、「勝新3大シリーズ」*1の中ではもっとも世界観と関係性が安定しているからだ。(まだ観ていない作品を除いて)戦争中の大陸が舞台で、軍隊の不条理と2人の兵隊の破天荒な友情が衝突する痛快劇が展開される。それが「兵隊やくざシリーズ」の世界観である。
だから、興味は前作に引き続いて、どのように件の衝突を生み出すかという点に収斂する。2度目の逃亡の後の本作はあっけなく捕まるところから始まり、前半の舞台は軍隊刑務所の中となる。ここから脱走するだけでもかなり無理がある展開であり、再び捕まった後、ソ連と接する最前線に送り込まれるという展開が続く。ここまで来るともう、2人の同性愛的友情は不滅であると了解されているのだから、ぼくたちがこの映画を観る面白さはいかに痛快なことを勝新がやってのけるかに尽きる。まるで田村高廣になったかのように、ぼくたちはハラハラしながら勝新の破天荒な言動を見守るのだった。さて、次回はどうなることやら…

*1:座頭市シリーズ」「悪名シリーズ」「兵隊やくざシリーズ」の3つ。