『兵隊やくざ 大脱走』

監督が田中徳三ということもあって、編集のテンポなど素晴らしかった。物語はこのシリーズ定番の破天荒ぶりはもちろんなのだが、後半は多少シリアスになっている。日本は敗戦間近で、田村高廣勝新太郎のコンビがいる場所はというと、ソ連軍に攻められつつある最前線なのだから仕方ない。
軍隊嫌いながらも結局軍隊との縁が切れない2人もいよいよ外部の敵を意識せざるを得ない。「大脱走」というタイトルとは裏腹に、ゲリラからの命を守るために自ら軍隊に戻るという新しい展開まで見られる。「兵隊やくざシリーズ」にあっては、今までとは異なる面白さが味わえる作品だった。痛快さはそれほどないものの、ドラマとしての面白さはなかなかだったと思う。