『黒木太郎の愛と冒険』77’

不意打ちと戸惑いの連続だった。こんな映画が存在していたなんて、自らの無知を恥じねばなるまい。個性の強い素人を語り部に使っていたり、虚構と現実の捻れた構造を採用していたりして冒頭からいきなり面食らってしまう。田中邦衛財津一郎倍賞美津子清川虹子三国連太郎緑魔子らの超個性発揮ぶりに笑わされたり、当惑させられたりで、まったく予想のつかない物語に頭を掻き乱されてしまった。
とてつもなくミニマルな小市民的ネタ話が続くと思いきや、突如として人情ドラマのような会話に転調し、唐突な死や悲劇的なトーンが訪れもする。こんな群像劇は観たことがない!人々は狂っているけど流行のサバービアとはまったく違うし、いったいこれは何なのだ?スタントマン?日の丸?切腹?糞を食べる猫?ノミ?林間学校で輪姦?大人のオモチャ?ソープ?