三角関係の行方

ロマンポルノ末期1983年製作、崔洋一監督『性的犯罪』を観た。たまたまレンタルビデオ店に置いてあったのを見つけたので。
気の強い女2人とだらしない男1人という三角関係モノ。小さな会社(自動車関係の仕事?)を経営する男は、社員の起こした事故のせいで借金取りに追われる身になってしまう。そんな中、社員の女が融資を申し出て来て、その代わり居候させてくれと取り引きする。男にとってはありがたい申し出なので歓迎するが、彼の妻は複雑な気持ちだ。捻れた関係は決裂しかけながらも三角関係は安定してゆく。そして…
さすが崔洋一。人物関係に緊張感がみなぎっていて、撮影も的確。引きの固定ショットと寄りの手持ちショットが調和していて、家屋の中の陰影が物語を彩る。もちろん70年代的ではない。神代辰巳を思わせる黒みの挿入がセックス場面で使われたり、ロックやジャズっぽい現代音楽が使われたりしていて、ロマンポルノ全盛期からその後の映画へ…という過渡期的な作品なのだなという印象を抱いた。