シンポジウム(江川達也×宮台真司×高岡健)@牛込箪笥区民ホール

充実した内容の3時間だったと思う。3者の基本的な見解は一致しているのだけど、実践というか今後に向かうスタンスが微妙に違っていて、そこが興味深いところだった。全体的に、先日の宮台サイトでアップされた「波状言論」の宮台発言の趣旨を、明治期や昭和期の日本の状況に適用したような内容で、このシンポジウム自体は教育という観点から行われていることもあってか、終始「コンテクスト」ということを意識させられた。
例えば、冒頭からやり玉に挙げられたいわゆる「司馬史観」である。江川達也が言っていたが、司馬遼太郎が明治期やそれ以前の英雄モノを書く動機には、具体的な戦争体験が関わっていて、その時に感じた昭和のどうしようもなさがあるのだという。そんなことを踏まえず、今度NHKで放送されるらしい「坂の上の雲」を観た若者が司馬遼太郎的な英雄像を真に受けるのはいただけない*1、と。そして、歴史とは物語ではなく、「戦略の宝庫」「実存的な参照」として読み解くのがいい、と宮台真司は最後に締めくくった。
余談になってしまうけど、宮台さんが途中「波状言論」の東さんとの対談に触れて、オフレコと言いつつ、東さんが実存的な迷いを感じたというような趣旨の発言をしていたので、なんか文脈的には、次回「波状言論」を東浩紀鈴木謙介宮台真司の実存に迫る!という感じかと思っていたぼくは、もしかしたら逆になっているのかとも思いつつ、とにかく早く読みたい一心である。
一応、全体的な流れをメモっていたけれど、そろそろオールナイトに行かねばならないし、疲れたので簡略に済ませておく。

*1:ido:yukattiさんのご指摘を受けて、誤解を招く記述を改めました。