出かける前に

12時間眠りっぱなしだった。世間は受験であわただしいというのに…なんという怠慢か。バイトまであと1時間ほどしかないし、今日はずっと行けなかった歯医者にでも行って、労働に専念しよう。(といっても、今日はおそらく暇なのでほとんど好き勝手にできる。)
とりあえず『ファウスト』を読むこと。他の停滞している読書たちにはひとまず暇を与えることにして、一発屋に終わらないことを願って『ファウスト』を…。考えてみれば、この日記を始めた動機には『ファウスト』をめぐる情念が無縁ではなかったのだ。「ファウフェス」に参加しながら、傍観者としてしかその熱を体感することをできなかった後悔を繰り返さないために。
ちょっと余談。読書好きのおそらく2割ぐらいの人間がやっていると思われるトイレ読書。ぼくもこの数ヶ月のあいだ桑原武夫著『文学入門』を読んでいて、ようやく読み切った。もっとも、唐沢俊一さんと同様*1、最後の方はトイレの外に持ち出して読んだのだが…。適当に選んだこの本は1950年が第1刷となっていて、読んだ印象よりも実は古かったのだが、言っていることはまさに教養について。わが国の文学の読みの浅はかさ、西洋諸国に比べたときの文学の貧困さ、それに対する文学教養の必要性を訴えている本である。岩波新書。けれども、文学とは何か…という本質的な問いに、この著者は「インタレスト」だと一言で言い切ってしまっていて、そんなところが愛すべき乱暴さに思えるのだった。

*1:「裏モノ日記」でちょっと前にトーマス・マンの小説『魔の山』かなんかをトイレ読書していたということを書いていた。