もうひとつの受験勉強

『高校大パニック』とはうって変わって藤田敏八の『バージンブルース』を観た。同じ日活映画で、前者が1978年で後者が1974年。
一連の藤田敏八×秋吉久美子の中ではそれほどに良いと思わなかったけど、興味深い点はいろいろとある。ぼくの故郷でもある岡山が後半の舞台となることは差し置いても、女2人と中年男、あるいは同じ女2人と泥棒男というそれぞれの三角関係の描き方。一部徹底した暴力。ユーモア。そして歌。野坂昭如が歌うか「バージンブルース」「黒の舟唄」。個別の作品についての検討は保留。まだまだ観ていない藤田作品及び、70年代の周辺映画がありすぎる。
ひとつ指摘しておくと、受験勉強をする女子寮の2人という設定が興味深かった。浪人することと、藤田映画の若者のあり方はどこか重なっているような気がしたし、長門裕之の演じる宙ぶらりんの中年もほとんど浪人と同じ状態だ。それに長門裕之にはいかがわしさが似つかわしい。真面目な役柄はどうも違和感がある。鈴木清順の『けものの眠り』などで見た長門裕之などの違和感に比べれば、藤田敏八の『赤ちょうちん』や『バージンブルース』でのいかがわしさの方が腑に落ちる。年を重ねたということもあるが…。
余談。さっき久しぶりに観た『ちびまる子ちゃん』が、いつの間にやらデジタル処理になっていて、当たり前ながら驚いた。