噛み千切られた指、アクロバット、飛ぶ生首

tido2004-04-09

待望の『怪猫 有馬御殿』をビデオで観た。さすがTUTAYAだ。監督は荒井良平、主演はもちろん入江たか子。『怪猫 呪いの壁』には入江たか子は出ていなかったので初体験だった。
50分にも満たない本作の前半から中盤にかけては、殿様に贔屓にされる美女が大奥に妬まれ、陰惨ないじめに遭うという話がきわめてゆったりとしたテンポで描かれる。なぎなたを使った女たちの模擬試合のシーンなどは、とても奇妙な感じで、そういったところだけでも十分観るに値する。
メインはやっぱり入江たか子の演じる美女が大奥たちに仕組まれて、自殺に見せかけながら殺されてしまうところからだ。ほぼラストの10分ぐらい。女は生前猫を寵愛していたせいか、化け猫となって復讐に現れる。最初はポルターガイストのような現象として。しかし、すぐに姿を現したかと思うと、平然とした表情で猫のように手の甲を丸めて手招きし始める。すると、その動きに合わせて、恐怖におののいていた大奥の女たちが操り人形のように踊りだすのである。化け猫招くと、女が踊る。踊りといっても、気を失ったまま前転したり、ブリッジしたり、床体操みたいなので笑ってしまう。真剣な表情で手を動かす入江たか子は、遊びに夢中になる猫そのもので、これは怖い。
化け猫を成敗するために現れた男たちの集団を振り切って、彼女は背中を丸めたまま切りかかってくる刀を避けて避けて避けまくる。屋根の上を飛び移り、走りまわる。挙句に、バク転を連続でやってのける。とうとう首をはねられると、夜空を高速に飛んでいく生首が牙を剥き、自分を殺めた者の黒幕の首へと噛み付くのだった。ああ恐ろし…。