70年代総括/80年代の宮台

  • 三上治『1970年代論』
  • 『情況』(六月号)

連合赤軍を60年代全共闘運動の流れから切り離す三上治の分析は、そうすることで70年代を乗り越えているのではなく、むしろ誠実に引き受けようとしているように思える。共同幻想としての「死」をどのように考えるかというひとつの主題を三島事件と接続することで、連合赤軍のたどった道に必然性を見る。笠井潔の『テロルの現象学』にも通じる試みを、独立左翼の当事者の見地からたどっていて、流れとして分かりやすく、これはぼくにとってありがたかった。
『情況』の宮台インタビューの後編は、三島が死んだのと同じ年齢となる宮台真司の80年代から昨今の心境を細かく浮き彫りにしている。このインタビューは「注」も詳細でけっこう役に立ちそうだ。