身体の違和

サトウトシキ監督『Perfect Blue 夢なら醒めて…』をDVDで観る。これはあまり良くない。ピンク映画の新感覚派としてのサトウトシキをこの作品から観てしまったのは間違っていたかもしれないが、何か当惑するしかないような映画だった。
好きなアイドル(の卵)を愛するがゆえに、身も心も彼女自身になってしまうというファンタジックなお話は措くとしても、前田綾花が到底アイドルの役柄とは思えないし、芝居を見せようとしているのかどうか意図のはっきりしない長めのロングショットがあると思いきや、意図のよくわからないカット割りが行われていると思われるところがあったり、それがこの監督の演出を表して冠せられる「低温感」ということなのかもしれないが、ぼくにはその魅力が最後まで分からなかった。回想シーンで少女が飛び降り自殺をして、頭から地面に激突するところまでのワンショットはなかなか面白いイメージだったが…。
大森南朋には何か惹きつけられる魅力があるように感じるが、この映画ではそれが曖昧なまま、彼は前田綾花そのものになってしまって映画から姿を消してしまう。それが残念だった。諏訪太朗の言うホルモンバランスの異常とかで女性化しつつあった大森南朋には妙なリアリティがあって、その異質感をもっと面白く展開できたような気がするのに残念である。
同じピンクの「サトウ」でも、借りている佐藤寿保のDVDに期待を込めて観るとしよう。疲れた。眠い。