手作り映画健在

久しぶりにテリー・ギリアムの『未来世紀ブラジル』を観る。DVDの画質はさすが。いくつかの細部は記憶にあったが、大筋の物語をすっかり忘れていた。しかし、今観てみるとオーウェル(あるいはザミャーチン)だったのだということに気づいた。爆風で吹っ飛ばされる人が明らかにマネキンだったりするあたりは手作り感が漂っていてすがすがしい。
『ロスト・イン・ラマンチャ』で見られる相次ぐトラブルが象徴するように、テリー・ギリアムの果敢な手作りへの挑戦は、もはやどこにも受け入れる余地がないのだろうか。ドン・キホーテになってしまった男は、それでも夢想を実現させることができるのだろうか。新作が観たい。