アニメーションと実写のはざまで……失敗か?

とりあえず「失敗」と書いてしまったけど、よく考えてみるとそれはあまり正しくないような気がする。劇場でやっていた時(あっという間に終っていて見逃してしまった)、予告編に感じるものがあって観に行こうと思っていて果たせなかった映画なので、何かおかしな期待があったのかもしれない。何しろ予告編とはまったく印象の違う映像が展開されているのだから。
何が違うかといえば、実写メインではなく、CGアニメーションがメインであったということだろう。また、ホルスとかアヌビスみたいな神が出てくるから大きな展開の物語になるのかと思えば、あまりハリウッド的な物語ではなく、凄まじくテンションの低い展開がなされるのである。唯一、銃撃戦みたいなところとか、カーチェイスっぽいところはあったが、不完全燃焼のまま一瞬にして終る。そういったテンションの低さは登場人物たちの言動にも反映されていて、そこがこの映画の魅力的な部分ではある。
しかし、この映画におけるアニメーションと実写の融合はリアリティを喪失させる方向に偏っている。リアルではあるが、明らかにCGの登場人物、実写人物の妙なキャラクター設定、まるで『バトルフィールド・アース』を思わせる世界観などのために、この映画は観る側に「冷め」を促しているように思えるほどである。
片脚を失った男がホルス神と融合し、ジョンと呼ばれる正体不明の男に庇護される女をレイプし、子作りに励むのがこの映画の中心とも言える物語になっていて、神とのセックスが『ゴダールの決別』を思わせないでもないが、ホルス神はどうも神々しいところがなく、男とのやりとりも滑稽であり、そんなところが日本のアニメにおける例えば、のび太ドラえもんみたいな関係を思わせるが、それは穿った視線なのだろうか? そもそもエンキ・ビラルのことをよく知らないので、まずそこから入ってみるべきだった。しかしまあ面白(?)かった。