世界観とバランス感覚

tido2005-05-11

恵比寿ガーデンシネマにて仕事帰りに。
細部までつくりこまれたこの映画は遊び心に溢れるばかりか、画面設計が綿密にコントロールされていて素晴らしい。例えば、ケヴィン・コスナー主演の『ウォーターワールド』*1よりも世界観がつくりこまれている。それに、人物のキャラクターとか関係の推移とか、バランス感覚も絶妙で1度はまると癖になってしまう。しかも、物語は家族とか「復讐」とかメタ映画とか、そういったものを組みあわせた内容ではあれど、人を食ったような展開と一定のリズムのおかげでさほど起伏が感じられない*2にもかかわらず、なぜかラストへ至るくだりには感動を覚えてしまった。特に、冒頭で復讐を誓ったジャガーザメとの遭遇やプレミア上映の後、子供を肩車したビル・マーレイと出て観衆たちが同じ方向に歩いていく辺りなど、観ていて幸福な気分にさせられてしまった。まるでアリの巣みたいに断面として連続的に撮影されているベラフォンテ号の船内の様子とかたびたび出てくるゲイやレズ志向とか前脚が1本ない犬とか、そういえば映画の雰囲気はファレリー兄弟を連想させる部分もあるが違ったりするところとか、いろいろと気になる映画だけど、ノリを楽しむことが先行してしまい、十分に映画を観られなかったのが正直な感想である。

*1:あまり適当な例ではないが……。

*2:戦闘場面などは派手にやっているのだが、スローモーションや音楽の使い方によって、本来あるべき中心からピントがずらされる。