書体の表情

ファウスト』が発刊される際にひとつの話題となっていたのが個々の作家に見合ったオリジナルのフォントだった。凸版印刷の紺野氏が「フォントディレクター」としてファウスト・フェスティバルで興味深いDTPの話をしていたのを思い出す。
http://www.apple.com/jp/pro/design/koudansha/index2.html
そうはいっても普通の読み手としてぼくはフォントに興味をもったことなどほとんどない。読みやすいか読みにくいか、気になってそれぐらいだった。だから、正直、なぜスティーブ・ジョブスがGreat!と言うほどだったのか事情が飲み込めなかった。
出版社で仕事をやるようになって、QuarkXPressなどでフォント選びに配慮するようになり、初めてテキストの見せ方について少しは考えるようになった。確かに違う。でも、雑誌やブログなどを読む際には別段、細かく注意したりはしない。けれど、仕事上、書かれた文字をアウトライン化されたデータのようにしなければならず、どうすればよいのか右往左往していて、ようやくStreamlineの存在にたどり着いた。これによってスキャニングしたデータをアウトライン・データとして扱えるようになった。その際に、いろいろ検索しているとこんなサイトを見つけた。
http://www.type-labo.jp/Septdekirumadewaku.html
そうだ、軽々しくフォント選べる背景には多大な労力が存在しているのだった。それを知って初めて書体の表情にまで視線が届きそうな気がした。物語だけでなく文字の上にも世界は広がっているのだ。