林由美香追悼上映@上野日本名画劇場

取り立てて良い映画ではないが、少し異色なコメディとしてまずまず楽しめるといった程度。ほぼ全編が野外ロケ、それも主人公の男が所有している森が中心的な舞台となっている。そこに幽霊的な老人が登場し、男と一時的に別れた林由美香を陵辱し、男に対しては土地の権利書を手放すように脅しをかける。安っぽいストーリーだ。
しかし、林由美香を観る楽しみは味わえる。幽霊老人の策謀にはまって、落とし穴にお尻をはめてしまい動けないところを杖でいたぶられる様子、物語展開のためにご都合主義的な独り言をアクション付きで喋る様子もすべて愛らしく、表情は豊かさを失わない。端役の女たちとは比べものにならないコケティッシュな魅力。それだけでも観る価値があると言っておきたい。
もっとも、上野のピンク映画館は危険地帯である。オッサンたちのお触りを拒む攻防戦に意識をやりつつ、映画にも集中するという技が要求される。500円と格安な日本名画劇場はまだ良い。席にも座れる。あとは頑なな態度を一貫させ、横から迫る手を払いのけること。しかし、かつて1度だけ入ったことがあるオークラ地下は魔物の巣だった。ここはまず入って座席までたどり着けない。立ち見の人数が半端じゃなく、場内に入ると一斉に視線が注がれる。暗転すると彼らが動き出し、取り囲まれ、身動きがとれないまま……という状況になりかねない。ぼくはかつて5分もたずに退場した。もし行くなら集団で行くのがいいだろう。逆に女の方が安全かもしれない。女装子はいるけど。
自分の体験を考慮すると、ピンクを観るなら新橋>新宿>池袋>神楽坂辺りが安心して観られる許容範囲かと思う。