絶望の淵へ

ようやく今頃になって黒沢清監修のDVD-BOX「映画はおそろしい」を観ようと思って、まず『回転』を観たのだが、これがやはりとてつもなく素晴らしかった。そこには計り知れないものが刻印されているのだ。タイトルバックの「手」のショット、そしてあの女家庭教師の祈りが、すべてを観終わった後にまざまざと回帰してきて、何とも言えない哀しみに襲われてしまった。なんというか……本当に……世界はそうなっているのだ。くだらないことばかりに饒舌になっている場合ではない。リハビリしなくては、映画についてまともなことが書けなくなってしまったようだ。