地下と屋上

  • 韓国美姉妹 不貞の人妻(監督:キ・ウンソク、出演:キム・ジョンフィ、キム・イェリンetc)
  • 和風旅館のロシア女将 女体盛り(監督:勝利一、出演:カレン・ユルサコフ、小川真実etc)
  • ロリータ・バイブ責め(監督:佐藤寿保、出演:木村さやか、伊藤猛、梁川りおetc)

シネロマン池袋にて。
『韓国美姉妹 不貞の人妻』は韓国製ポルノ。編集などは拙いが、昼ドラ系のドロドロ姉妹劇をやっていてドラマ部分に力を入れているのが感じられた。所々で演歌調の音楽が流れ、字幕で人物の決意や想いが表示されるのが新鮮だった。
『和風旅館のロシア女将 女体盛り』はピンクにありがちな安っぽいご都合主義的な物語だが、それがマイナスにならずとても楽しめる内容になっていた。まさに心温まる作品なのだ。カレン・ユルサコフ演じる男に逃げられ行く当てもないロシア女性がひとりの男と知り合い、彼の父の旅館で女将として働くという展開もテンポ良く語られているし、彼女を除けば熟女しか女性は登場しないのだが、濡れ場において熟女を暖かく見つめるような演出が良いと思う。挙げ句、熟女のひとりとロシア女将とのレズシーンまで披露されるが、そこに至るまでの少々強引な展開もなかなか良いのである。エロが単なるエロでなく、人を楽しませ心温めるエロになっている。
そして『ロリータ・バイブ責め』。これは紛れもなく傑作である。佐藤寿保のハードな演出が全編に緊張感をみなぎらせている。80年代の角川映画などに不思議な少女を中心的に描くものがあるが、そういった種類の映画としてもこれは極北にある。ロリ風の木村さやかが見せる表情が素晴らしい。パンティに銀色のバイブを挟んで、すでに自殺した男を捜し続ける少女。彼女は学校に行かず、夜の街(歌舞伎町)に徘徊し、屋上で探偵と会い、やがてその探偵によって地下に監禁される。それぞれの場所の描き方も巧い。
探偵は実際には写真家であり、彼は少女を拷問し、最後には毒で殺すのだが、その死の瞬間の写真を撮ることをライフワークにしている。豚の屠殺写真をかつてバイトで撮っていたことが、彼を不能にさせていたのである。そんな少女たちの壮絶な死の写真が部屋の壁を埋め尽くした地下室の迫力。ここで木村さやか演じる少女も同様に殺されかけるが、パンティにバイブを潜ませていたことや彼女が理由も語らず男を探させようとしていること、そしてどこか現実的な実在感に乏しいにもかかわらず強い意志のある佇まいに反応したのか、探偵=写真家=殺人者は彼女を殺すのをやめるのだった。
その後の展開も素晴らしく、ラストまで一瞬たりとも画面が緩まない。何より唯一の濡れ場となる拷問シーンの断片的なショットのつなぎの的確さ。少女たちが口から一文字に吐き出す赤い血。飛び散る液体、汗。鳴り響くバイブ音と無機質なBGM。暗闇に差す強い光。刺激的な映画である。