ダウナー系青春友情オタク映画

  • 女子高生ロボット戦争(監督/脚本/編集:ティム・T・カニンガム、出演:ミシェル・フェアバンクス、マリア・ジョーンズetc)

池袋のTUTAYAで目についたので何の期待もせずに観たら……なかなか面白いかもしれないと思わせる内容だった。アルバトロス・フィルムということで多少は甘めに評価しているというのはあるけど、それを差し引いてもそれなりに楽しめる。
超優等生の科学オタク少女と筋肉系のスポーツ&格闘少女。仲の良い二人はどうみても冴えない。風貌だけでなく、立ち振る舞いでその感じを的確に表している。そこに美少年の転校生。学校中の女たちがそわそわする。2人も彼に気を惹かれつつ、互いに反目し合うようになる。そして決裂。最後に友情復活。ありがちなストーリー。
しかし、描写のあり方が特異である。全編を通してダウナー系であり、感情的な場面や表現に作り手の思い入れがまったくないのが伝わってくる。唯一登場人物が高揚するのは、科学オタク少女ブリトニーが仕込んだ薬品で「覚醒」したアメフトチームが宗教的な熱狂に湧くという場面だった。その他は徹底してフラットなのである。しかし、それがあまりマイナスになっていないと思わせる。時には人物のアップに集中線が出現したり、時には闘気というかオーラがあからさまに色付きで描かれたりする。明らかにマンガ表現からの影響だろう。
ロボットにしろミサイルにしろ、あの辺の描写はGAINAX系のアニメにも影響を受けてるんじゃないだろうか。また、2人の少女がそれぞれイメチェンして、それぞれタイプは全く違うのだが、どちらにせよそれほど可愛いタイプの女優ではなく、メガネを外したり化粧したりしてもその効果はまずまず……というぐらいにしか見えないのに、不思議なことにじわじわ可愛らしく(特に科学オタク少女の方が)見えてくるというのもなかなか良かった。個人的な体験かもしれないが。しかし、2人の「戦争」があっけなく終わる場面は素晴らしい。特にその場面の字幕が素晴らしい。格闘少女に対して「本」でにわか拳法を学んだオタク少女が肉弾戦を繰り広げる。学校の屋内から屋上へと移るというのも日本のマンガやアニメを思わせる。互角に戦っていたオタク少女が急に倒れる。格闘少女の攻撃がじわじわ負担になっていたのだ。そして「いたぁい」と一言。それに対して格闘少女はすぐに戦闘モードを解き「大丈夫?」と彼女をいたわり、友情が回復するのだった。めでたしめでたし。
途中、かなり気合いの入ったディスコ描写があったということはid:gotanda6さんに知らせておこう。「ダラス」とかいう名前のディスコでミラーボールなども出てくるが、全編ダウナーな映画だということもあって盛り上がっているのか盛り上がっていないのかよく分からない妙な雰囲気である。それにしてもこういった味わいの映画はめずらしい。