回胴式人間模様
- 作者: アニマルかつみ,パチスロ必勝ガイド編集部
- 出版社/メーカー: 白夜書房
- 発売日: 2006/04/12
- メディア: ムック
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村上龍的なものだったり、ハンス・ベルメール的なものだったり、身体観みたいなものに少なからず共感を抱いていたが、やはりパチスロの手練でもあった。彼女は高校を半年でドロップアウトした後、彼氏を介してパチスロにはまる。この対談でも「イプシロン*3」やら「サンダーV」やら「クランキーコンドル」やら往年の名機*4の名が出てくる。これらの機種は「純Aタイプ」で「技術介入」が要求されるゲーム性の高い人気機種だ。今の機種と違ってシビアな目押し力が勝敗に大きくかかわってる。それでも射幸性はあまり高くない。数千円〜一万円そこそこで遊べる機種なのだ。
金原ひとみもそのような機種に夢中になり、ぎりぎりの生活の中でパチスロを謳歌していたようだ。女性ならではの体験だろうけど、店内の煽りマイクで「オオハナビ」のビタハズシを冷やかされたりしたエピソードなどを語っていた。アニマルかつみの「パチスロ小説を書いてくれ」という提案に「やりたい」と答えていたことだし、スロッターならではの小説を書いてほしいものである。
ところで、そんな名機たちの時代……往年といってもそれほど昔のことではない。次のランキングは99年度のパチスロ人気機種ベスト10である。
- 花火(アルゼ)
- アレックス(アルゼ)
- 花月(山佐)
- サンダーV(アルゼ)
- アステカ(エレコ)
- ビーマックス(アルゼ)
- バーサス(アルゼ)
- 次郎吉(アルゼ)
- クランキーコンドル(アルゼ)
- ニューパルサー(山佐)
一目見て分かる通り「アルゼ」の機種がほとんどを占めている。先日アルゼにまつわる話をちょっと聞く機会があったので、興味のままに本などを読み始めた。例えば、この本など。
- 作者: 松岡利康,特別取材班
- 出版社/メーカー: 鹿砦社
- 発売日: 2003/08
- メディア: 単行本
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しかし、99年に長者番付1位にもなった*8アルゼグループ社長(現オーナー)=岡田和生の歴史を見ると様々な疑惑が見えてくる。いや、疑惑どころかあからさまなものまである。アメリカのカジノ業界とのつながり、あまりに独善的な社内政治、双子の弟の服毒自殺、亀井静香との金にまみれた関係、脱税、他メーカーへの強引な手段、K-1とのつながり……挙げればきりがない。パチスロのファン雑誌はメーカーからの情報提供に基づいているため、批判的な記事は掲載できないし、ファンも汚れた話が知りたいわけではないだろう。ただし、末井昭という例外が編集局長をつとめる白夜書房は批判的な記事も載せたらしいが。
アルゼに代表されるメーカー、一部は朝鮮系団体やヤグザ業界とのつながりもあるだろうホールや、利権に溺れた警察などが絡み、複雑怪奇な疑似カジノのようなシステムが公然と運営されているというわけである。また、溝口敦が『パチンコ「30兆円の闇」』で取り上げている3店方式なども問題視されない方がおかしい。これは猥褻概念にも言えることだが、法律でパチンコ&パチスロなどのギャンブルを公認してグレーゾーンをなくすべきだろう。結局、私服を肥やすのは上に挙げた連中ばかりで、その金はすべてパチンコ&パチスロファンから出されているに他ならないのだから。ファンはホールに搾取され、出版社に搾取され、ホールや出版社はメーカーに搾取され、メーカーは警察や政治家と黒い関係を結び……その他もろもろ。
しかし、何て面白いのだろうか、この業界は。今日も会社帰りに2万円ほど負けてしまい、2度とスロットなど打つか!と思いはしたのだが、今は給料が入ってどの機種を打つべきか考え中である。
*1:ぼくはとりわけサマンサ三吉のマンガが好きなのだが、一般的にはあかつきけいいちの「アドリブ」シリーズや名波誠の「旅打ち」シリーズが人気だと思われる。
*2:カズマ氏のパチスロ日記はあまり面白いと思わない。パチンコからパチスロへ転身したid:takuzouさんの日記の方が面白い。
*4:「サンダーV」や「クランキーコンドル」はしかるべきホールを探せばまだ打つことは可能だろう。ぼくの家の近所でも「サンダーV」は現役高稼働中。
*5:いわゆる「爆裂機の規制」のきっかけのひとつとして。
*6:『サクラ大戦』『デビルマン』『キュ−ティーハニー』など。
*7:パチスロ好きの「オオハナ」への思いを知るには、このフラッシュを見てもらうのが一番。泣ける……http://www1.ocn.ne.jp/%7Eslot777/oohanabi.htm