イタリア映画は女性映画である

イタリア映画映画祭を間近に控えて気持ちを高めるつもりで。気の向くままに借りたDVDがこの2作だったというだけで別に意図はなかったけど、イタリア映画は女性映画だということを考えさせられるセレクションだった。
女性が中心的に描かれるということもあるけど、ロジックよりも感覚に重きを置いている点においてそれを強く感じる。『モデル殺人事件!』の視覚的な効果がフル活用された演出。冒頭の宙づり看板がラストで宙づりの赤い受話器で締めくくられるまで、視覚の洪水が物語を凌駕する。真夜中の空き店舗で光が明滅する中、女の見た目ロングショット、不自然な形で立っている影が消える場面にはぞくぞくする。
一方、アントニオーニは言葉の感覚とその言葉の周りをぐるぐる旋回するかのような映像に翻弄されるかのような独特の映画である。映画監督と女。台詞にもあるように、こういったセンスはイタリア映画に特有のものなのかもしれない。濃い霧の中を走る車、運転する映画監督、助手席の女。ロッセリーニの『イタリア旅行』と比べると面白い。
ゴールデンウィークのイタリア映画祭が楽しみだ。