「インベーダーゲームVSパチンコフィーバー機」という歴史

パチンコ沈没―潰れる店生き残る店 大ピンチを大チャンスに変える本

パチンコ沈没―潰れる店生き残る店 大ピンチを大チャンスに変える本

戦後の正村竹一による「正村ゲージ」の探求、そして連発式パチンコ、それに対する当局の規制、救世主としての「チューリップ」、パチスロの誕生という東京オリンピックあたりまでの歴史。押井守の『立喰師列伝』ではないが、パチンコの歴史における情念に焦点をあてるのも面白い。ただし、本書は「表」の歴史であり、「裏」についてはほとんど触れられていない。
1979年の「インベーダーゲーム」がまさにその名の通り、パチンコ業界を侵略し、大打撃を与えたのだが、そこで起死回生の「フィーバー機」が誕生する。1980年のことだ。ぼくの誕生年と同じ。このフィーバー機が今のパチンコの原型になっていると言ってもいい。その誕生秘話も面白い。この業界の様々なエピソードは機会があったら触れようと思う。
著者はホール側の立場の人間だ。だから、みなし機、4号機が撤去されて低射幸性時代へ突入する(あるいは回帰する)今後の状況を真剣に考えている。これまでの業界の歴史をたどると瀕死のたびに起死回生があった。今後の状況は中小ホール、あるいは大ホールにあっても厳しいものだろうが、これまでのP業界の生命力はそんな危機を上回って来たのである。しかし、今回ばかりはどうだろう。遊技者にとっても辛い時代ではあるが、もしかするとホールという存在もかなり危ういかもしれない。