池田こずえのエステティシャン
- 僕の妹 下着の甘い湿り(監督:荒木太郎、脚本:三上紗恵子、出演:美咲沙耶、里見瑤子、吉岡睦雄etc)
- 美女濡れ酒場(監督/脚本:樫原辰郎、出演:若宮弥咲、山咲小春、間宮結etc)
- 痴態エステ 舐めて交わる(監督:国沢実、脚本:間宮結、出演:さくら葵、池田こずえ、椿まや、松浦祐也etc)
新宿国際劇場にて。
狙いは分かるがあまりうまいとは言えず、ちょっともったいなかった『美女濡れ酒場』の後に上映されたのは『痴態エステ 舐めて交わる』。これが本命だったので、上映時間に合わせて入ったつもりが、ピンク映画ではめずらしくないことだがプログラムの順番が入り口に示されているものと違っていて、結局3本目に観るはめになった。
しかし、『痴態エステ』はなかなかの傑作である。国沢実はやっぱり信頼できる。ちょうど『美女濡れ酒場』にも出演していた女優間宮結によって書かれた脚本も良いのだろう。昔はいじめられっ子で、その時の体験はトラウマでもあり、自分に自信を持つためにエステティシャンとなった女(池田こずえ)が、そのいじめっ子だった女(椿まや)に、客でもあったけど親友になりつつあった女(さくら葵)の痴態写真を見せられた時、今まで我慢してずっと崩さなかった表情をゆがめながら叫び、椿まやにビンタ一発! サディスティックな性悪女を好演していた椿まやがそのビンタによって、彼女も強がっていた態度を一気に崩して泣きながらダメ男(松浦祐也)への愛を告白し、ダメ男はダメ男で二股がばれて女のひとりであったさくら葵にビンタされ、その場を飛び出して行ったさくら葵がひとり橋の上で寂しげに佇む後ろから声をかけたのは池田こずえの演じるエステティシャンだった。そして2人は結ばれる。愛のあるレズシーンと共に幕は閉じる。
やさしい光で包み込むような前向きな映画のスタイルは本当に素晴らしい。ピンク大賞では新人賞を受賞した池田こずえ。この映画でのエステティシャン役の揺れる心情を、その豊満な身体と共にしっかりフィルムに刻んでいる。彼女の名前をポスターに見たら、今後は必ずそのピンク映画を観るだろう。