紅い猥雑技団

17時から約5〜10分刻みの幕間を除いて22時半までの5時間半! 紅薔薇座公演楽日の1回半分をたっぷり堪能した。やはりゆのちゃんがいなくなっていたので「ロリータ萌えレズショー?」はなくなっていた。その代わりプログラムにも少し変更があり、昨日は出演していなかったMAYAによる調教ショーが加わり、夜羽エマと京ちゃんが一緒に調教ショーを行っていた。また、一回目に限りエンディング用プログラムが用意されていた。昨日は1回目の本当に最後の方から観たのでほとんど観られなかった部分だ。
ぼくが観たのは1回目のレッドテイルから。プログラムは一応こうなっていた。

  • 空中SMショー(浅葱アゲハ)
  • 調教ショー(MAYA)
  • 金粉ショー(姫まどか&フジヤマナナ)
  • 真性レズビアンショー(レッドテイル あづさ圭&葵黄蓮)
  • 真性M女調教ショー(夜羽エマ&京)
  • オペラ座の怪人風SM&切腹ショー(早乙女宏美)
  • 空中リングショー(葵黄蓮&フジヤマナナ)
  • ハーレムベッド(紅薔薇座6名総出演)

演目の名称が昨日と違うのは、今日は幕間に流れるあづさ圭のマイク解説を参考にしたからであり、内容的には同じである。真性M女調教ショーでは、幕間の暗闇の中、客席に京ちゃんがいつの間にか紛れ込んでいた。幕が開けると、舞台奥の西洋風の椅子に金髪とサングラス、ボンデージ姿、片手にワイングラスの夜羽エマが堂々と座っている! なんと1回目は洋風スタイルなのだ。昨日観たのが2回目の演歌風和風スタイルだっただけにギャップがすごい。*1音楽が1曲流れた後、立ち上がった夜羽エマが客席の京ちゃんを手招きして玄人芸スタート。
「この子はね、ふだんはお嬢様で花嫁修業をしてたのを、わたしが見つけて連れて来たのよ。でも実は真性のM女なんです。そうよね?京ちゃん。可愛らしい顔して……京ちゃん、お客さんに可愛がってもらいなさい。さあ、この可愛い京ちゃんと楽しいことしたいという人はいる?早いものがちよ。ほら。京ちゃん、あなた選んであげなさい。」
そんな感じで舞台は夜羽エマの独壇場。最初は嫌がる客(サクラではないようだ)も結局舞台に上がることになる。この時、指名されたのは40代ぐらいのおじさんで断じてM男じゃないと主張していた。それが夜羽エマの手の上で転がされて最後には顔の上に透明の洗面器を配置し、放尿を受けとめることになろうとは……。しかし、「ヒロシ」と名付けられたおじさんは幸せ者だ。京ちゃんのあまりに感じやすい身体を調教し、互いに乳首をいじり合うまでのスキンシップを体験できたのだから。
さて、触れておきたいのは「空中リングショー」と「ハーレムベッド」。これは一度は観るべきものだ。あまりに官能的な時間が流れる。空中に配した大きなリング。これをブランコのようにアクロバットに乗りこなし、艶かしい肢体を披露するというわけだ。リングの運動、そしてその上で官能的なポーズのまま静止すること、これには見とれてしまう。それを彩るのは完全美女という形容がふさわしい葵黄蓮。続くハーレムベッドは紅薔薇座名物。6名の出演者が狭き舞台上で優しく触れ合い、絡まり合い、やがて溶解する。これぞレズショーの真髄とでも言えるような「表現」がそこにある。良いものを観させてもらった。
そして2回目へ。さすがに詳細に綴る体力がなくなってきた。実際に内容は同じなのだが、やはり浅葱アゲハの自吊りはすごかった。それどころか、細部に注目してみるとさらに発見があった。手先、足先、舌先、目線……身体のあらゆる場所まで意識が行き届いていて、かなり近くで観ていても一瞬たりとも緩む隙がない。その肉体同様、完成されている。ゴス系のメイクということを除けば、その容貌は中森明菜が近いかもしれない。しかし、まだ若いらしい。知人を通じて大学生活と同時にSMパフォーマンスをやっていると聞いたことがある。10代の女の子から絶大なる支持を集めているらしいが、それは分かる気がする。ぼくの近くの客席にもゴスロリ系のメイク&ファッションに身を包んだ(それほど派手ではなかった)レズビアンカップルがいた。
MAYAはラテン系女王様である。夜羽エマの玄人芸と違って荒削りだが、その強引さが場内を活性化させる。長身の美貌。まさにイメージ通りの女王様。でも、登場して音楽が鳴り止んでから「こんばんわぁー! あれ元気がないなぁ。もう一度、こんばんわぁー」などとやっていくあたりはあまりに陽気すぎた。だけど、その甲斐あってか調教されるM男としてひとりが立候補。初めてといいながらアナル調教までされていた。そして場内にいた一組の若い男女のカップルも強引に舞台上にひっぱりあげた。どうやらそのカップルはSMに興味があったようだ。見た感じは清潔感もありお洒落でお似合いのカップルだったが、最初は戸惑いつつも、けっこう大胆に観客の視線にさらされながらソフトSMプレイを披露した。MAYA女王様大喜び。そんな感じのほのぼのプレイ。
金粉ショーは60〜80年代に盛んだったんだなぁ……とあづさ圭の解説で知る。ルーツには白塗りの暗黒舞踏などと関係しているのだろうか。金粉ショーの歴史を調べてみるのも面白いかもしれない。おそらく演劇の肉体性の復権などともかかわってくるのだろう。
ここまで書いたら2回目の真性M女調教ショーにも触れておかないといけない。今度の夜羽エマは和風。美空ひばりの歌に合わせて踊り、途中から京ちゃんもうながされてたどたどしく踊る。2曲目。昨日は「うまい」とか書いてしまったが、じっくり見ていてようやく口パクだと分かった。さすが玄人芸。でも、夜羽エマの歌のうまさもちゃんと確認できる。ショーのラストの放尿場面で毎回「ふるさと」を歌い始めるのだ。
最後の最後、この回では客席に常連のM男を見つけ、夜羽エマはそのおじいさん「チリン」を舞台に上げる。「チリン」の名の由来は、いつもオチンチンにチリンチリン鳴る鈴を付けているからだという。今日は鈴はなかった。その代わりにひらひらの付いたスキャンティみたいな京ちゃんもびっくりの可愛らしい下着をチリンは履いていた。なんと80歳。なんという変態力か。四つん這いになって京ちゃんを背中に乗せ、2人揃って女王エマからアナル調教を受ける。
「京ちゃん、おじいちゃ〜んって叫びなさい」
「おじいちゃん気持ちいいよ〜」
「はぁ〜い」
「あんたたち面白いわね。みんなも家に帰ってやるといいわ。これが家族円満の秘訣よ」
ついこの前観たピンク映画でも華沢レモンが孫とおじいちゃんプレイをやっていて、それが何とも楽しそうだったのを思い出したので、もしかすると夜羽エマが言っていることはあながち間違いじゃないかもしれないと思えた。フィニッシュはもちろん放尿。京ちゃんもみんなが見つめる緊張感の中で無事放尿を成し遂げる。(一回目は失敗したのだ。)夜羽エマは貫禄の放尿。完全に勢いと量をコントロールできるらしく、膝でリズムをとると狙った場所にすごい勢いの聖水を発射することができるのだ。チリンは京ちゃんの尿を嬉しそうに飲み干し*2、夜羽エマ女王様の尿を全身に浴びて生き生きとしていた。曰く「あと100年は生きます」。
早乙女宏美の切腹ショーを最後に、長かった5時間も寂しさと共に終わってしまった。そういえば、早乙女宏美のショーを観ていた時、いつの間にか隣に自分の出番を終えた京ちゃんがいたので舞台への集中力をそがれてしまった。終わった後、せっかくのチャンス、話しかけようと思ったがタイミングを逃してしまった。でも、帰りがけに紅薔薇座のDVD購入すると、主催のあづさ圭さんと話すことができた。話のついでにゆの&京で使われた曲についても訊ねたのだが、ちょっと分からないけど……と言っていた矢先、すぐ近くに浅葱アゲハさんもいて、彼女にも訊いてくれた。結局、彼女も分からないということだったけど、アゲハさんに素晴らしい自吊りショーの感想を伝えることができたし、ふだんはとても可愛らしい女性だということがうかがえて良かった。会話の端々からアニメ好きっぽい印象を受けた。単に勘違いかもしれないけど、もしかしたら舞台のあの世界観にそういったものも反映されているのかもしれない。
紅薔薇座は昔のストリップショーの伝統ということも意識しつつ、女性向けの愛のあるストリップショーも提供し、今回のように男性にも開かれた形も実践している。これはすごいことだと思うし、今後も追いかけて行こうと思った。

*1:ふと思ったけど、1回目、2回目という使い分けは紛らわしいかもしれない。演劇で言うところのマチネとソワレであるが、この言葉を使い慣れていないので、1回目、2回目と表記している。

*2:あんなに淀みなく尿を飲む姿を見たのはバクシーシ山下監督作のAV『めちゃイケてる飲尿娘』シリーズに登場する「尿木監督」以来である。