パチスロ小説という野望は可能か

アニマルかつみが金原ひとみとの対談でふっかけていたりはしたけど、おそらく実現不可能であろうパチスロ(あるいはパチンコ)小説。面白いものになりようがない。とはいえ、ぼくもそうだけど、小説をまずまず読んでいてそれなりに思い入れもあって、後からパチスロ中毒になってしまった人間はどうやらそんな幻想を抱いてしまうことがあるようだ。たまたま読んでいた小説や観た映画にパチスロやパチンコが出て来るだけでついつい呼吸が荒くなってしまう。
そんな中、野心的な試みをしている人間がひとり存在する。サマンサ三吉。ぼくがこよなく愛するパチスロ漫画家である。彼はパチスロ攻略雑誌『パチスロ必勝ガイド』に「回胴超人ニーチェ様」という漫画を書いている。7月号の冒頭のネームは「私の名は/夏川螢/こう見えても/直木賞作家だ/そんな私は/ある日/私のアパートを/通りすがる/彼と出会い/パチスロ/小説を/書こうと/している」と始まる。この漫画が面白いと言いたいわけじゃない。サマンサ三吉ファンのぼくでも、これを熱心に読む人がどれほどいるのか疑わざるをえないのに、よくもこんな連載をやっているなぁという白夜書房への感心と、サマンサ三吉の野心的な試みを見守りたいということで、とりあえず触れておいた。