スカトロ★ホラー

tido2006-06-17

渋谷ユーロスペースにて。映画の前に鮮烈な体験をした。その話は次エントリにて。
原作を読んだことはない。楳図漫画の映画化に関して、まだそれほど素晴らしいものは観たことがない*1ので、井口昇が『猫目小僧』を撮ったという話には大いにわくわくさせられた*2。そして期待を裏切らない内容。
清潔で可憐な美少女ばかりが登場するところが良い。ちょうど井口昇の『ロリータ調教レズ』をレンタルしていて、延々と続く咀嚼プレイでの口のアップが脳裏に焼き付いていたところ、この映画でもやはり同様のフェティシズムが発揮されている。ついこの前観た井口昇版『卍』も濃厚な絡みはあったけど、この『猫目小僧』ほど危険な香りはしていなかった。この映画で竹中直人が演じる妖怪ギョロリ……明らかにウンコのイメージである。登場人物が嗅ぎ取る臭い、造形。あからさまにそうとしか言いようがない。『猫目小僧』はスカトロホラーである。可憐な乙女の口にその肉玉と呼ばれるあからさまな物体が強引に押し込まれる様子が、省略もなしに延々とアップで映し出される様は……好みが分かれるだろう。
しかし、石田未来が演じる顔にあざのある少女がとても可愛くて、女学生と形容するのがぴったりの過剰な学園ドラマ(「何でパンを投げるの?」)や休業日の遊園地での騒動も懐かしさを漂わせる非現実感が心地良く、猫目小僧と「ナイナイ」の共闘など、ラストは痛快に見せてくれる。豊かな内容だ。とはいえ、ツバで病や傷を治す描写など人によっては気持ち悪くて直視できないかもしれない。そういう意味でホラー的な描写はある。むしろ井口昇のAVを観る方がソフトであるかもしれない。そういえば、つぶやきシローのふてぶてしさも意外に良かった。傑作であることに違いはないが、人に勧めるのをためらってしまう映画である。

*1:ユーロスペースで以前上映された黒沢清らの楳図企画は面白かったけど、突出した映画体験とまではいかなかった。

*2:そうか。巡回していて気づいた。そういえば↑の企画において『まだらの少女』もあった。未見だが。