過去は悪魔のようにやってくる

  • ひと夏の出来ごころ(監督:加藤文彦、脚本:木村智美、出演:岡本かおり、高橋麻子、渡辺とく子、青木均、小沢仁志etc)
  • 昭和の女 団地に棲む人妻たち(監督:工藤雅典、脚本:日下由子、出演:夏目今日子、矢藤あき、佐々木麻由子、那波隆史、伊庭圭介、下元史朗etc)
  • 義母の告白 禁断の絶頂5秒前(監督:浜野佐知、脚本:山崎邦紀、出演:朝倉麗、青木こずえ、田口あゆみ、杉本まこと、山本清彦、甲斐太郎etc)

シネロマン池袋にて。降り出した雨と共に映画館に入り、出る時には雨が止んでいた。
『ひと夏の出来ごころ』はロマンポルノ。不思議少女系である。ぼくが苦手、というより面白さがあまり分からないジャンルなので、これといって書くことが思い浮かばない。計算して丁寧に撮られているけど、角川映画と同じでいかにも虚構じみた関係性や台詞が飛び交うため、同時代の虚構性に縁がないとあまり楽しめないのかもしれない。
『昭和の女 団地に棲む人妻たち』は封切り作品だろうか。夏目今日子が主演しているということはここ1〜2年以内ということは間違いない。初めて見かけたのでたぶん封切りだろう。工藤雅典の名は覚えていた。4〜5年前になると思うが、『寝乱れ義母〜』*1やタイトルは忘れたが家庭教師モノを、心理描写まで丁寧に撮っていて好感がもてた。団地妻モノ、しかも夏目今日子主演……というわけで期待しないわけにいかない。
舞台は大阪万博を控えた昭和。背伸びした団地生活をしつつも、夫はすでに職を失っていて、妻は隠れて売春をすることで家計をやり繰りしている。売春仲間との会話からは、近々ニュータウンができるらしく、現状の過酷さに耐えつつも、わずかな希望は失っていない、ということがうかがえる。これは面白そうだなと思った。けれど、それほどでもなかった。その後の展開は割と平凡なものだ。夏目今日子の持ち味もあまり生かされていない。後藤大輔が撮っていればもっと面白くなったんじゃないかと思ってしまう。助監督に竹洞哲也の名があったが、竹洞監督作品『欲情ヒッチハイク 求めた人妻』と同様、夏目今日子と那波隆史のペアだっただけに、もうちょっとがんばって欲しかった。
『義母の告白 禁断の絶頂5秒前』は浜野佐知が監督。彼女の本を読んでからは初めての鑑賞。フィルムの状態からすると封切り作品に思えなくもないけど、誘惑する義母役の女優が一昔前を感じさせる。それに浜野佐知、今もピンクを撮ってるんだろうか。バリエーションのあるセクシー下着、さらにはレズビアンの女性による「下着革命」「フラッシュ・ポイント」などのフレーズを用いた口上。ラストの複雑な気持ちにさせる感触。これらはピンク映画をたくさん観ていてもなかなか味わえないものである。

*1:3度観た。予告編でやっていたのでまたやるみたいだ。