色本探訪

いつの間にかしのざき嶺の新刊が出ていた。『Over Dose』。ちょっともの足りない内容。巻末の初出一覧を見ると、どうやら『フラミンゴR』はまだ続いているようである。ぼくが立ち寄る本屋ではあまり見かけることがなくなったので、すでに終わったものだと思っていた。
ちょっと前に『性生活白書 「性」のある生活』というのが刊行されているのに気づき、購入。vol.1とあるので、どうやら始まったばかりの雑誌らしい。「『シニアの性』最前線報告書」という特集もあり、なかなか興味深い。ただし、ほとんどが読者や会員(?)による性体験投稿となっていて、紋切り型の体験告白に近いそれらを大量に読まされるのは退屈でしかない。中にはライターが書いたり、大部分を手直ししている原稿もあるのだろう。今時のエロ本で、これほど投稿で占められる雑誌も珍しいので、とりあえずは注目してみたい。いくつかの投稿の中でチンポのことを「愚息」と称していて、この表現はちょっと気に入ったので今後使ってみたい。ちなみに投稿者の9割が高齢者。約1割が中年だった。
そして『SMスナイパー』8月号。DVD付き特別号。SM雑誌だとかスカトロ雑誌だとかニューハーフ雑誌だとか、マイナーなものは内容の割に高かったりするけど、『SMスナイパー』はちゃんと読ませてくれる内容で1800円の良心的価格。もちろん写真も充実。アラーキーの「東京緊縛」も良い。前述の『性生活白書』は1500円。ぼくが購入しているニューハーフ雑誌は3種類ほどあるけど、だいたい2000円前後。ゲイ雑誌みたいに『スナイパー』が広告で埋め尽くされてしまわないように、ちゃんと購入して存続に貢献しなければならないと思う昨今である。
そうか、早乙女宏美は43歳だったのか。どうやら9月号から「マゾヒストの人生相談」(仮)が始まるみたいだ。
追加メモ。本ではなくDVDだけど、ソフト・オン・デマンドのAV『全国出張ファン感謝祭』(SuperEdition)は感動的だった。マジックミラーの大型車の中で、全国各地の選ばれたファンの要望に身体で答えるAV女優。
堤さやかと樹若菜のロリータコンビは不思議な存在感。素がどうとかは関係なく、どぎまぎするファンとの関係でも『ロリータ監禁レズ』などの姿とそんなに変わらないように見える。予定が長引いて終電ぎりぎりのファンが3人残り、各5分ずつしか時間をとれなくなった長瀬愛。一生懸命にイカせてあげようとして、1人目、2人目と2〜3分で無事発射。でも、最後の1人が極度の興奮と緊張感からなのかタイムオーバー。そこで思わず泣いてしまう長瀬愛が本当に可愛い。ファンに気にしないで、と慰められる。一色志乃はファンからの手紙に感動して奉仕の後「手紙もらってかえってもいいですか?」と潤んだ目で訊ねる。
まるでカメラは舞台となる車のマジックミラーのように機能しているかのようだ。多くの場合が恋人いない暦と年齢とが同じであるファンの一途で純粋な気持ちが、AV女優にも反射し、そこにたとえ一瞬でも両者にとってかけがえのない時間が生まれたかに見える。こういうのを目の当たりにすると、ピンク映画もいいけど、アダルトビデオもいいなと思わされる。