『イノセンス』周辺を探る

http://d.hatena.ne.jp/kurosawa31/20040124#p2
「人工事実」の記事にコメントした「ヘルシー女子大生日記」より。ぼくも「人工事実」を介して『イノセンス』のオタク排除戦略を知ったのだけれど、もともとぼくの彼女からの情報で2月13日の「『イノセンス』特別先行試写会&六本木ヒルズ朝まで文化祭」を知ったのだった。それで無事チケットを取って、押井守川井憲次と共になんで糸井重里が来るのかな…と漠然と思っていたところに件の記事である。
ぼくの彼女によるとカフェグローブのサイトから『イノセンス』のイベントを知ったらしく、試写会の後のイベントが始まるのは0時からだからまさしくバレンタイン・デーに、恋愛映画としての『イノセンス』をもってきているわけである。オタク排除も甚だしい。ちなみにカフェグローブのサイトを見てみるとこんなのだった。
http://www.cafeglobe.com/
しかし、それはそれでいいのだろう。オタクの粘着性があれば押井守作品に都合の良い萌え要素がなかろうと観るだろうし、もともと興味のない人は排除されていなかろうがされていようが観ないだろう。逆に、こうした趣向の戦略やイベントがなかったら、押井作品に見向きもしない人は存在するはずである。さすがにバレンタイン・デーのイベントの圧力に抗ってまで、先行試写会をひとりっきりで観ようという人はそれほどいないと思う。ぼく自身は彼女がいなければ男友達を誘って行ったに違いないが…。
いずれにせよ、先ほど書いた「波状言論」にも共通して思うのは、「棲み分け」を少しでも取っ払って誤配を生じさせるというのは良いことだと思う。それによって不快感を覚える人の方がどうしようもないとぼくは思う。
先日TVで観て面白いなと思ったのは、代官山か渋谷か忘れたけど、とあるカフェだかレストランだかで、(10円のピンポン球を買えば)卓球ができるサービスをやっていて、その一番の特徴が食事している人たちのところへもピンポン球が飛んで来るという点だった。お店の人はそういう部分にコミュニケーションの偶発的な機会を狙っていて、なるほどと感心してしまった。ピンポン球が飛んでくるようなところに我慢できないような人は行かないと思うが、自然に偶発的なコミュニケーションができる雰囲気はなかなか良さそうな気がする。
さらにこれも先日の体験だったが、近所の珈琲館に行ったら、子連れの夫婦がいて、夫がパチンコに出かけて行った後、子供がうるさく騒いでいたら、近くのおじさんが怒鳴って母親を罵倒しながら出ていった。おじさんの言っていることは部分的に正論なのだけど、あんな言い方をしたら誰だって子連れ母の方に肩入れしたくなる。正直、ぼくだって子供がうるさいとは思ったけど、別にその場で書道や生け花をやっているわけではないし、それほど忍耐力を強いられるものではなかった。そこにあのおじさんだった。「TVタックル」などでも取り上げられたことがあったけど、他人との距離感にぴりぴりし過ぎている雰囲気は、良いものではないと最近よく思う。